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ほぼ日|20年以上愛される「ほぼ日手帳」をアプリに!日々の記録を楽しむ、新しいユーザー体験を実現

人々が集う「場」をつくり、「いい時間」を提供するコンテンツを届ける会社として、さまざまな商品を生み出してきた株式会社ほぼ日

その代表的な存在である「ほぼ日手帳」は、誕生から25年目を迎え、新たなユーザー層の獲得と体験価値の向上を目指して、「ほぼ日手帳アプリ」の開発に踏み出しました。

そのキャッチコピーは、「生きてるって、思い出をつくること。」

事前のダウンロード予約数は7万件を超え、リリース直後はApp Storeの無料アプリランキングで1位となるなど、大きな注目を集めた本アプリ。ゆめみはFlutterとサーバーサイドの開発パートナーとして、プロジェクトに参画しました。

スマートフォンに収められている日々の記録や思い出を「しっかりと守りながら、残していく」。その思いを実現するため、ほぼ日の開発チームと共に、さまざまな技術的な挑戦を乗り越えました。また同時に、最新ツールを活用し、開発の効率化も実現しました。

 

<クライアント>

株式会社ほぼ日

株式会社ほぼ日


<プロジェクトの経緯と詳細>

2001年の誕生以来、20年以上にわたって愛され続けてきた「ほぼ日手帳」。長年のロイヤルユーザーに支えられる一方で、世の中のデジタルシフトが進む中、新規ユーザーの獲得や体験拡張の必要性が高まっていました。

こうした状況を受けて、スマートフォンアプリならではの魅力を詰め込んだ「デジタル版・ほぼ日手帳」の開発が決定。しかし、そこには大きく二つの課題がありました。

ひとつは、社内エンジニアのリソースが限られ、Flutter開発に関する知見も十分ではなかったこと。もうひとつは、外部の開発パートナーとより密なコミュニケーションを取りながら開発を進めたいという思いでした。

そこで今回は、Flutterに対する深い知見と実績を持つゆめみにお声がけをいただきました。これまでの開発における課題を丁寧にヒアリングし、会議体の設計やコミュニケーションの仕組みそのものから改善案をご提案しました。

そして、2024年5月から、ゆめみが正式な開発パートナーとして「ほぼ日手帳アプリ」の開発プロジェクトに参画しました。

 

ほぼ日手帳アプリ

 

<主な実施内容>

 

  • プロトタイプの制作から、スクラップ&ビルドでスタート

キックオフを皮切りに、まずはアプリのパイロット版の制作から着手しました。Figma上に起こしていただいたUIデザインをベースに、ゆめみ側で実際に動作するプロトタイプを開発。スクラップ&ビルドで検証を重ねながら、理想のユーザー体験を形にしていきました。

そして同年10月から、要件定義フェーズへと移行。ほぼ日の開発チームが主体となり、ゆめみはFlutterを活用したアプリ開発と、サーバーサイドの開発をご支援しました。

 

  • 所属企業の垣根を越え、オープンな関係性を構築

チーム全体の週1回の定例会議に加えて、週3回のデイリーミーティングを実施。さらに、エンジニア同士が自由にペアプログラミングや技術検討を行える時間も週に2回設けました。

リモート開発ながら、こうした密なコミュニケーションを重ねたことで、役職や企業の垣根を越えたオープンな雰囲気が生まれました。プロジェクト途中から参加したエンジニアも含めて、両社が一体となって前向きに課題解決に取り組みました。

 

  • ユーザーの「思い出を守る」ための技術面挑戦

ほぼ日手帳ならではの新しいユーザー体験を実現するため、技術面でも多くの挑戦がありました。

特に「スマホを持ち歩くだけで、でかけた場所、撮った写真、スケジュールといった今日のできごとが自動記録できる」という機能の実現には、端末との同期やOSのセキュリティ、複雑なロジックなど、高いハードルをクリアする必要がありました。

今日のできごと

また、「ユーザーの大切な思い出を堅牢に守る」という思想のもと、高度な暗号化を含むセキュリティ強化に取り組むとともに、データベースの構成についても両社で検討を重ねました。

その中で、リレーショナルデータベースやドキュメントデータベースなど複数の選択肢を比較した結果、部分的にNoSQLデータベースを採用。運用コストや将来的な拡張性を踏まえ、最適な選択をすることができました。

 

  • 最新技術の導入で、開発の効率化にも成功

開発効率の向上にも積極的に取り組みました。Flutterの状態管理パッケージである「Riverpod」や、CursorやClaude CodeといったAIによるコーディング支援を導入。従来の開発フローに新しいツールを組み合わせることで、生産性とコード品質の両立を図りました。

さらに、ドキュメント管理の効率化に向けてMCP(Model Context Protocol)の導入にもトライし、チーム全体のナレッジ共有を強化しました。

 

ほぼ日 ご担当者様のコメント

 

CTO 清木昌さま

毎年100万部近く世界中のお客さまにお届けしている「ほぼ日手帳」のアプリ版を作るということは、ほぼ日にとっても大きなチャレンジでした。使いやすさとデザイン性の高さで喜んでいただいている「ほぼ日手帳」のイメージをアプリでも実現するには高度な実装力が求められましたし、お客さまの大切な思い出を預かることを考えれば信頼度の高いバックエンドを開発する技術力も求められたからです。

そんなプロジェクトで、開発パートナーとして、ゆめみさまと出会えたことは本当に幸運でした。ほぼ日からお出ししたUIデザインや、データの暗号化要件などは、通常の開発に比しても特殊なお願いが数多く含まれていたと思います。それに対し、両社でワンチームとなって取り組み、お客さまに喜んでいただけるアプリに仕上げることができました。現時点でも開発難易度の高いアプリでしたが、今後、ワールドワイドへのリリースに向けて、さらに考慮すべき要件が積み増されていきます。それでも、ゆめみさまとであれば、きっと世界中のお客さまに喜んでいただけるアプリに仕上げていけると信じております。

開発プロジェクトマネージャー 石沢ふみ子さま

今思い返すと、誰が欠けてもこのアプリを届けることはできなかった、そう思えるチームだったと思います。画面数も機能数も多く、同時に求められるクオリティも高く、何度も超えるべきハードルが現れましたが、それを一緒に乗り越えていってくれる心強さと信頼がゆめみの皆さまにはあったと思います。

ゆめみさまとほぼ日で、それぞれの役割も会社の垣根も越えて、たくさんのアイデアをもとに開発を進めてきました。ほぼ日手帳アプリはこれからが大事なので、ぜひ一緒に育てていきましょう。そして、このアプリに関わったことを誇りに思っていただけたら、何よりもうれしいです。

Flutterエンジニア 後藤田千里さま

ほぼ日手帳アプリは「生きてるって、思い出をつくること。」を体現するために、一切妥協せずに開発を進めました。その結果、仕様がかなり複雑になったと思いますが、ゆめみさまと一つの開発チームとなって進められたからこそ、こんなに素晴らしいアプリが実現できたのだと実感しています。

時には雑談をしながら一緒に作業したり、オフラインでミーティングをしたり、キャッチボールをしながら仕様を検討したりしたことは、今となってはとても良い思い出です。引き続きキャッチボールのように、お互いに呼吸を合わせて、一緒にアプリをどんどん成長させていけたら嬉しく思います。

ゆめみ 担当者のコメント

 

プロジェクトマネージャー 上ヶ迫 勝憲

世界中で愛用されている「ほぼ日手帳」、このスマートフォンアプリを制作するという話を聞いたとき、ワクワク感とともに、実現できるだろうか? という不安ともプレッシャーとも言えない感覚を抱きました。

実際、技術的に難易度の高い課題もありましたが、プロジェクトチーム全体で諦めず取り組んだことで、一つひとつ乗り越えていくことができました。ほぼ日さまの想い・企画力とゆめみの技術力が相まって、とてもよいアプリに仕上がったと考えています。

ほぼ日手帳アプリの歴史はまだ始まったばかり。よりよい改善・改良を続け、長く愛されるアプリに育てる過程を、これからも供に歩んでいきたいと思います。

Flutterエンジニア 山﨑 敦史

「スマホを持ち歩くだけで日々の記録が残る」という機能の実現には、OS権限、複数端末間の同期、サーバー側で扱えるデータの制限など、様々な制約がありました。それぞれの条件に応じた対応を一つひとつ検討する大変さがありましたが、ほぼ日さまのチームと毎日のように議論を重ねて最適解を探る中で、両社のエンジニアでキャッチボール会を開催するようになるほど、仲を深めながら開発を進められました。

アーキテクト・サーバサイドエンジニア 板谷 悠人

多くの方に長年愛され続けてきた「ほぼ日手帳」のスマートフォンアプリということで、今回この開発に携わることができたことを大変光栄に思います。ほぼ日さまは、デザインや使い心地など細部に至るまで強いこだわりを持っておられ、私たちもその想いに応えるべく何度も議論と試行錯誤を重ねました。その結果とても良いアプリに仕上がったと思います。

技術面でも、今回はお客様の大切な個人情報をお預かりするアプリであるため、セキュリティには特に時間をかけ、ほぼ日さまとゆめみ双方で多くの議論を重ねながらシステムの設計・開発を進めてまいりました。その過程で多くの学びや気づきがあり、私自身にとっても非常に貴重な経験となりました。今後も、より多くの方にこのアプリを手に取っていただけるよう、引き続き成長と改善に貢献していきたいと考えています。

<アプリ情報>

ほぼ日手帳アプリ

<サービス分類>

  • 開発プロジェクトマネジメント支援
  • iOSアプリ開発
  • Androidアプリ開発
  • サーバーサイド開発
  • インフラ構築支援

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