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コープこうべ|アプリを真ん中に利用者と開発チームがつながる。ご担当者様・ゆめみ担当者による特別座談会

生活協同組合が大切にする「出資、利用、運営」という三原則を、今の時代にフィットする形で体験できるように開発された「コープこうべアプリ」。2017年4月のリリース後、現在は「宅配事業+店舗事業+組合員活動」の機能を備えたコミュニティ・プラットフォームとして、多くの組合員に利用されています。

ゆめみは「人間中心設計」を採用した本アプリ開発をご支援し、コープこうべ様と二人三脚でコミュニティの成長に携わってきました。今回は、コープこうべ様とゆめみの5年にわたる歩みを、座談会形式でふりかえります。

クライアント

生活協同組合コープこうべ

 

「コープこうべアプリ」の代表的な機能

【品番注文】
紙の宅配商品カタログを見ながら、トーク形式で品番と数量を入力するだけで注文できる

【かんたんスピード注文】
「よく利用する商品」や「お気に入り商品」をひとまとめに並べて注文完了できる

【コープTOUCH!】
「投票」機能や、組合員同士がコミュニケーションできる「ルーム」、ちょっとした困りごとを手助けして欲しい組合員と、それを手助けできる組合員をマッチングする「たすけタッチ」など、コミュニティ活動に気軽に参加できる

【コーピーくらぶ】
小学生以下のお子様を持つ組合員が、子育てに関するやりとりができるコミュニティ。24時間で投稿が消える「きいて」のコーナーでは、日々の悩みごとを肩の力を抜いて発信することができる

 

座談会参加メンバー

生活協同組合コープこうべ
インターネット・デジタル推進 統括 浜地 研一 様
インターネット・デジタル推進 係長 坂井 由希子 様

株式会社ゆめみ
取締役 染矢 幹基 (本プロジェクトではセールス、ディレクターを担当)
プロジェクトマネージャー 村野 雄基

左からゆめみ染矢・村野 / コープこうべ 浜地様・坂井様

 

インタビュー

「あの時にゆめみさんと出会っていなければ…」と想像すると恐怖

 ーーコープこうべさんとゆめみのお付き合いも、もう5年以上になりますね。今日はまず、我々の出会いからふりかえっていければと思います。

浜地様:コープこうべでは、2016年にスマートフォンアプリを開発することを決めました。その理由は、特に若い方にとって利用しやすい生活協同組合(生協)になること。通常のECやスーパーと異なり、組合員自身が生協の運営に参加できる利点を活かして一緒に地域や暮らしをよくできれば、という想いがあったからです。

そこで日々の宅配注文や店舗でのお買い物に利用されるアプリを通じて、若い世代も含めた組合員が気軽な気持ちで意見を言えたり、自然な形で地域の助け合いに参加できたりするような状態を目指しました。

ゆめみさんと出会ったのは開発をはじめる数年前。染矢さんに最初にお会いしたのは2015年でしたね。

会話の中で私たち職員と同じ熱量で組合員の事を大切に考えられていることに驚き、また実現したい世界観をアウトプットする際の発想のジャンプのさせ方が「技あり」だったことに縁を感じて、一気に事が進みはじめました。

染矢:当時、コープこうべさんがつくろうとされている世界観に、とてもワクワクしたことをよく覚えています。

初期フェーズでは、コープこうべさんがアナログで提供している「強み」を活かしつつ、それをデジタルと融和させることにポイントを置き、機械的な体験にならないように「人気(ひとけ)」や「対話」、「距離感」を提案とデザインに込めました。

その上で、RFP(※Request for Proposal:提案依頼書)では「利用者視点」と記載されていても、開発が始まると事業会社/システム視点にすり替わっていることも起きることから、ロードマップを策定し、アプリを利用する組合員のご家族の生活を豊かにする発想で、二次フェーズ以降の夢を語りました(笑)。

浜地様:染矢さんと語り合ううちに、ゆめみさんと一緒に新しい世界へ一歩踏み出してみたい、と高揚してきたのですが、コープこうべでは、大手ベンダーさんを通してシステム開発をお願いするのが慣例だったため、「ベンダーのアンダーに入って開発してもらえますか?」と打診したところ…鮮やかに「それはできないです」って(笑)。

一同:(笑)

浜地様:これまではあっさり受けてくださるケースが多かったので、逆に「ゆめみ」という会社の良い意味での違和感に可能性を感じましたね。

染矢:我々は一般的には受託開発といわれる事業を展開していますが、お客様と目指すべきゴールを共有した上で、継続的にサービスを成長させていくことが強みです。

僕はコープこうべさんとは永くお付き合いしたいと思っていました。貴重なご予算をお預かりしていく上で、しっかり対価/価値を感じていただく環境をつくることが自分の役割と考えたときに、「これはターニングポイントになるな。」と思ったので譲れませんでした(笑)。

浜地様:ただ、ゆめみさんの真価がわかったのは、実際に開発が始まってからです。実は染矢さんだけでなく村野さんという強力な武器も隠し持っていて(笑)。今でも「もしあの時ゆめみさんと一緒に一歩踏み出していなかったら…」と考えると寝汗でびっちょりになります(笑)。

坂井様:浜地さん、その話をよくしていますよね。ゆめみさんとの出会いがあって私たちの想いがつながったと。それは本当に偶然だけど、その縁のおかげで思い描いていたアプリが生まれたんだと。

 ーーとても大きな信頼をいただいていて、本当にありがたい限りです。

 

無理難題にも共に立ち向かい、共に乗り越えられるパートナー

 ーー「コープこうべアプリ」はこの5年間で大きく成長してきましたが、その道のりの中には苦労もあったかと思います。PMの村野さん、いかがでしょうか。

村野:「コープこうべアプリ」は、まずは既存のECサイトにあったお買い物機能をアプリに組み込みましょう、という形でスタートしているんです。ただ、当時のECサイトには、データをアプリに連携する機能が一切なかったんですね。

その中で、まずはできる範囲で開発しましょう、ということで、ECサイトのHTMLをどうアプリ化できるか…という部分を詰めていったのですが、これがとても大変でしたね。

浜地様:そうでしたね。当時、われわれのECの作りが古かったのですが、そこの改修に踏み込むとものすごくコストがかかるということで、アプリ側だけで解決をしなければならなくて。

「ここまでがんじがらめな状態だから、アプリの動きにも引っかかりや重さがあってもしょうがないよな」と諦め半ばで初めてアプリのデモ版を触ったとき、思わず「わぁ!」と声が出ました。ものすごく軽快で躍動感があって。生命が吹き込まれた瞬間のようなあの感動は、今でも忘れられません。

坂井様:「我が子と初めて対面した日」みたいな気持ちで、ホントかわいくてしょうがありませんでしたね(笑)。村野さん、当時は本当に大変だったと思うのですが、何を心の支えとして乗り越えられたのですか?

村野:何でしょうね(笑)。ただ、そもそもの僕の仕事は「無理難題も含めて実現しましょう」ということだと思っているので、個人的には無理が多いほど楽しい部分もあります。

坂井様:村野さんのそうした姿勢を感じることはよくありますね。私たちが「もうこの位でいいかな」と思って着地させようとしているときにも、さらに高く飛ぼうとされる。その姿を見ることで私たちもあきらめずに飛ばなきゃ、って思いますから。

こうして無理難題に立ち向かってくださる皆さんとつながったことでアプリが大きく羽ばたいて、利用される組合員の皆さんとも、新しいつながり方が生まれ続けているなって感じてます。

 ーー前提として、やはりコープこうべの皆さんが真剣に組合員に向き合っていらっしゃるからこそ、弊社メンバーも「頑張ろう」と思えるのだと思います。

染矢:コープこうべさんは、僕たちだけではなくデザイナーやエンジニア含めて、常に全員にしっかりと届く感謝やフィードバックを伝えてくださるんです。それが、プロジェクトメンバーがやりがいをずっとキープできる大きな理由でもありますね。

浜地様:生協はもともと、商品づくりをされている生産者との関係を大切にしてきました。アプリづくりでも一緒に開発いただいた皆さんとの関係は本当に大切だと思っています。

ゆめみさんとは、発注者と受注者という関係ではなくて、一緒に畑を耕すところから始めて種をまき、育てている感覚です。雨風のつよい日には支え合い、収穫の時はみんなで一緒によろこべる関係でありたいです。

 

「心理的ハードルをいかに下げるか」アプリのUXUIにおけるこだわり

 ーー「コープこうべアプリ」には多くの機能がありますが、特に思い入れのあるものはありますか?

村野:投票機能と、コーピーくらぶの中の「きいて」というコーナーは、多くの方に使っていただいていることもあり、特に良かったかなと思っています。

坂井様:村野さんにそう言っていただけると、すごく幸せです(笑)。「きいて」を作るときは特に、みんなですごく悩みましたもんね。

村野:「きいて」は、数ある機能の中でも難産でしたね。一番最初は掲示板のような形にしようと言っていましたが、出来上がったものは全然違うものでした。

浜地様:アウトプットに至るまでの長~い旅路が恒例になってますね。結局、元に戻ったりもしますが、長い旅のおかげでチームとして強くなりますし、無駄なぜい肉がそぎ落とされたりして。

坂井様:特に「きいて」は時間をかけたぶん思いも乗っていますし、それが結果的に多くの組合員に支持されることにつながったのかなと思います。

子育て中の心細い気持ちがちょっとでもやすらぐような場をつくれたらな。ひとりぼっちの授乳中にどこかのママさんと気軽につながれたらな。などと思いながらぐるぐる考えましたね。子育ての悩みやもやもやした気持ちを安心してつぶやける、参加するハードルの低い場所にしたいと思いながら旅をしました。

染矢:僕の視点ですが、「コープこうべアプリ」におけるキーワードは「心理的ハードル」だと思っています。アプリの機能を使ってもらう上での心理的ハードルをいかに下げるかということを、常にみんなで旅をしながらワーワー話し合っていますね。

その結果として、投票機能を通じて「気がついたら生協の大切にしている活動に参加している」UXを生み出せたり、「きいて」で組合員同士が自然につながる体験が作れたりしたポイントだと思います。

浜地様:「たすけタッチ」を開発するときもかなり長い旅路でしたね。地域の皆さんの声を大切にしながら開発を進めて、リリース後も地域の会合に参加し続けています。使い勝手や困ったところを教えてもらいながら、マッチングの仕組みを変えたりアップデートを繰り返して…これはまだ旅の途中(笑)。

染矢:そこがコープこうべさんのすごいところなんです。仮説検証をした上で、「違う」と思ったらすぐに改善する。このサイクルこそが人間中心設計ですし、アプリが組合員の皆さまに愛されるコミュニティ化していった理由なのだと思います。

 

ユーザーと徹底的に向き合い、とことん突き詰めるサービス開発

 ーーゆめみと関わってくださったことで、コープこうべさんに起きた変化はありましたか?

浜地様:ゆめみさんはサービスを突き詰める「勢い」がすごいなと感じます。僕たちが「もうこれでええんちゃうかな」と思っていても、「いや、これの方が…」といった形で、どんどん使う人の目線で突き進んでいく。この熱量には、チーム全体が刺激を受けています。

染矢:昔、浜地さんがおっしゃっていてとても印象的だったのが、「村野さん、自分で自分の首をガンガン絞めに行ってはりますね」という話です(笑)。

坂井様:私もそう思ったことが、何回もあります(笑)。

村野:良くも悪くも、僕は状況をフラットに見られる立場にいると思っていて。定例会議などを通じて、コープこうべさんの思いをいつも伝えていただいている中で、自分はそれを理解した上で一歩引いた立場から見るようにしています。そうすることで、より良いものが作れるかなと思っています。

坂井様:私は超アナログ人間ですから(笑)、何か新しいアイデアや実現したいことがあったときに、いつも手書きで想いをまとめるんです。その想いを染矢さんや村野さんがしっかり受け止めてくださるのはとても安心感があります。アナログとデジタルが組み合わさることで、温かみのある雰囲気をもったアプリになっているのだと思ってます。

 ーーこれまでたくさんのお褒めの言葉を頂戴しているのですが、「ゆめみの良さ」を端的に言うと、どんな言葉が当てはまるんでしょう。

坂井様:「こんなことができますよ」と機能を振りかざすのではなく、「一緒にこんなことができたらいいのにね」というところから入ってくださるところです。だからこそ、アプリがこうして組合員の皆さんに支持されて、宅配注文にとどまらずコミュニティとして成熟してきたのだと思います。

その背景には「使う人のことを考える」想像力の豊かさや優しさがあると感じます。本当に、気持ちの入ったお仕事をしていただいていることがわかりますから。

浜地様:ゆめみさんは、BtoBではなく「BnBtoC」であることを徹底されていると感じます。僕たちを喜ばせるというよりも、僕たちを超えて実際に使う人のことを徹底して考えられていることが、会話の節々からもわかるんですね。ですので、これまでになかったような新しい価値を生み出そうとする上で、ゆめみさんのコープこうべチームは最高で最強のパートナーです。引き続き旅をご一緒いただけたらと思ってます。

コープこうべアプリ 開発チームのメンバー

 

組合員により良い体験を届けるための「新たな世界旅行」は続く

 ーー最後に、「コープこうべアプリ」のネクストチャレンジについてお伺いできればと思います。

坂井様:生協の伝統的な「紙のカタログを見て注文する」スタイルが年々減ってきている状況から、今が大事なターニングポイントと受け止めています。アプリだからこそ実現できる新しい注文方法やコミュニケーションが何かをゆめみさんと一緒に考えながら、組合員さんと一緒に新しい体験をつくっていきたいです。

例えば、見たことのない商品一覧や情報交換機能など、「見てるだけで楽しい!」「知らなかった!」「私と同じだ!」というシーンがむくむく広がっていく、そんなことになったら楽しいな~と思っています。

浜地様:他のECとは違う生協らしさとして、組合員だけでなく宅配の配達担当や生産者も登場するコミュニティとまじりあった買い物体験ができたらと思っています。

コープこうべにはおよそ1,500人の地域担当(宅配の配達担当)がいるのですが、コロナ禍の配達時には組合員の皆さんからとても感謝していただきました。阪神・淡路大震災のときに私は地域担当をしていたのですが、そのときにいただいた感謝の気持ちはいまでも原動力になっています。

ですが最近は留守宅も多いため、感謝の言葉をいただくことも減っています。そこで、アプリ上で気持ちをうまく伝えられるようなコミュニケーションを設計することで、利用する人だけでなく働く人もやりがいにつながり、サービス品質の向上という循環を生み出せばいいなと考えています。

村野:浜地さんや坂井さんがおっしゃたように、コープこうべアプリは来年のリニューアルを目指して動いているのですが、その中では全く新しい注文の体験を作りたいと思っています。その中で僕の役割としては、「じゃあ全く新しい注文の体験って、具体的にどういうことなんだろう」と分解していくことですね。

これからまたチームの皆さんと議論しながら、具体的な機能に落としていくことが大きなチャレンジですね。

染矢:僕としては、やはり生協の特徴として「地域」というキーワードは大きいと思っていて。

「地域に根ざしている」ことは生協さんならではですし、他の小売業さんとは一線を画すものだと考えています。ですので、買い物だけではない「地域のコミュニティづくり」ということにはこれからもこだわっていきたいですね。

組合員の皆さまに「コープこうべがあるこの地域に住んでいてよかったな」と思っていただくこと、その真ん中にコープこうべアプリがある、ということを突き詰めていきたいと思っています。

坂井様:染矢さんと村野さんだけではなくて、ゆめみの皆さんには本当にこれまで色々と教えていただきました。アプリのデザインも企画も、すごく楽しくて温かいものにしてくださったからこそ、それが結果として多くの組合員に支持されることにつながったと思っています。

ですので、ゆめみさんにはいつもとても感謝していますし、引き続き一緒に取り組んでいけたらと思っています。

浜地様:これからリニューアルに向けて、またゆめみさんと新たな世界旅行に出るという感じですね。とても楽しみにしています。

 ーー皆さま、本日は大変素敵なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

 

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