「一人ひとりの、暮らしの『まよい』を『よかった』に。」というミッションを掲げ、引越し比較・予約サイトの「引越し侍」や、結婚式場検索サイトの「ハナユメ」といった、人生のイベントや日常生活に密着したWebサービスを多数展開する株式会社エイチームライフデザイン。
ゆめみは今回、同社が提供する「引越し侍」の開発チームの取り組みにおいて、「スクラムマスター支援」としてスクラムにおける開発体制およびスクラムイベントのレビューなどを実施し、体制構築・チームブランディングに伴走いたしました。
2006年にスタートした「引越し侍」は、ユーザーが依頼フォームに入力した内容をもとに、複数の引越し業者から相見積もりを提供するという「引越し一括見積もりサービス」や、Web上で引越し業者を比較・予約できる「引越し予約サービス」を展開しています。
そして、2021年には「ITの力で引越しの手間を解消する」をコンセプトに、新たに引越しDXプロジェクトを開始し、「引越しネット予約サービス」や、LINEで使える「引越しやることリスト」をリリースしました。
同社が本プロジェクトを進める中では、「引越し侍」の開発組織において長年積み重ねてきた体制を刷新する動きがあり、スクラム開発の導入や、高い技術力が求められるモダンな技術構成への刷新なども行われてきました。
特にスクラム開発の導入においては、専門書からの自学にて組織への定着を図った上で、自組織にとって最適な運用ができているかを確認したいという思いがあったといいます。
そうした背景から、2023年3月より、ゆめみが「スクラムマスター支援」としてチームビルディングに伴走させていただきました。
週に1回、現状のスクラム開発の進め方をお伺いし、ご質問に回答させていただく形で壁打ちを実施しました。特にチケット管理についてなど、Web上で情報を取得しにくい内容についてアドバイスさせていただきました。
実際に行われているスクラムイベントの録画を拝見して、レビューを行いました。とても丁寧に実施されていたことから、より良くするという観点で細やかな点をお伝えさせていただくことで、「自信を持って運用できるようになった」とのお声をいただきました。
株式会社エイチームライフデザイン
デザイン開発本部 ソリューション開発部
エンジニアマネージャー / スクラムマスター
岡﨑 大輝 様
2021年からの開発体制の刷新においては、既存の体制を見直すだけでなく、新たなものを取り入れるという観点で、アジャイル手法の一つであるスクラム開発の導入に挑みました。
ただ、正しいスクラム開発の知識を持っているメンバーがいなかったので、専門書を読みながら基本に忠実に設計して進めていきました。その中では、「これってどういうニュアンスなんだろう」と疑問に思う部分や、元々の自組織の体制にそのまま適用するとうまくかみ合わない部分も出てきました。
例えば、作業規模を見積もるストーリーポイントの設定で誤認していた部分があり、当初はタスクの難易度や不確実性などの要因は考慮せずに、時間を軸に開発工数を見積もっていて、それによって予定していた納期を守れなくなり、最終的にエンジニアの首が締まってしまうことがありました。
また、本来のスプリントレビューは、インクリメントに対してプロダクトを成長させるためのフィードバックや議論をする場だと思いますが、以前はプロダクトオーナーに対して、インクリメント自体のチェックやテストを依頼するような場になっていました。
さらに、当初は10人強でスクラムを組んで開発していたため、タスクの割り振りの難易度が高かったり、メンバーとの議論が進めにくかったりしました。また、一人ひとりが作業したものをマージした時に不具合が起きてしまうこともありました。そうした課題に対して、一つずつ失敗から学び、改善を加えていきました。
ただ、自学では正解がわからない部分があり、本当に今のやり方で開発生産性が上がっているのかも不安だったことから、ゆめみさんに第三者目線でアドバイスをいただくこととなりました。
今回は、現状のスクラム体制に関する壁打ちやフィードバックをメインに行っていただきましたが、実際にゆめみさんの業務においてスクラム開発を実践されている方々から、一言に「スクラム」といっても様々なやり方があることを伺ったり、議論したりできたのでとても学びになりましたね。
また、レビューの中では「正解があるわけではないので、自組織に合わせて改善していくことも重要ですよ」というアドバイスもいただいたので、これまでの自分たちの試行錯誤が間違っているわけではなかったと分かって安心しました。
加えて、私たちはプロジェクト管理ツールの「Jira Software」を使用しているのですが、その中でのストーリーの管理についてもアドバイスをいただきました。
元々は、同じ粒度でストーリーを羅列して、その都度、優先順位を判断しながら開発を進めていましたが、同じ作業を繰り返してしまったり、プロダクトオーナーの意思が反映されていなかったりするといった課題がありました。
それに対して、上位概念であるエピックを取り入れて、プロダクトオーナーがしっかりとエピックを管理し、それを分割したストーリーは開発メンバーが管理するという切り分け方を教えていただきました。さらに、プロダクトオーナーとのコミュニケーション量を増やすことで、開発をより円滑にすることができたと感じています。
今後は、私がゆめみさんに支援していただいた内容をもとに、会社全体にもそのノウハウを広げられるように動いていきたいと思っています。
[スクラムマスター支援における両社でのミーティングの様子]
今回、スクラムマスター支援に携わった、ゆめみ スクラムマスター / 内藤 寛貴のコメントは以下の通りです。
今回のスクラムマスター支援のプロジェクトを通じて、エイチームライフデザイン様のチームは既に一定の成熟度を持ち、スクラム開発の核心である「改善」に対する意識がしっかりと定着していることを確認しました。
また、スクラム開発を学ぶ過程で生じる疑問や細部の実践方法については、弊社内の複数のチームからの情報を共有させていただき、それが有益な知見としてチームに活かされたことを喜ばしく思います。
今回のエイチームライフデザイン様とのスクラム開発に関する議論は、私たちにとっても非常に有意義な時間となりました。ありがとうございました。
スクラムマスター支援
・引越し侍